現代農業 2013年6月号より 抜粋
殺虫能力が高く、極めて分解しにくく、植物の組織内に浸透して作用するネオニコチノイド系農薬は、わずかな量で効力が持続する(半年から数年に及ぶ)ことから広く普及されてきている。が、農薬とは本来、分解しやすく、散布後は速やかに無毒化して食品中には残留しないものではなかろうか。 ネオニコ系農薬は、神経に作用しエセ神経伝達物質として働き、極度の興奮状態を持続させて死に至らしめる殺虫剤であるが、ミツバチが即死する濃度の数倍から10倍以上もこれを含む食品が、人間にとって無害であるといえるのだろうか。長期間にわたって摂取し続けた場合、代謝しにくいのではないかという実験の結果からは、たとえ残留濃度基準値以下であっても、人間にとっての慢性毒性が疑われてならない。 「残留濃度基準値」が人間の安全という基本的な立場から決定されていると信じるが、ネオニコ系農薬の「残留濃度基準値」が大量輸入食品のそれに比べて極めて高いのはなぜなのだろう。殺虫能力が高く、分解しにくく、組織内のあらゆるところに浸透し、洗ってもとれない「ネオニコ系農薬」は、「農薬」というより「農毒」に近いのではなかろうか。「安全」「安心」という言葉が巷で聞かれるが、むなしささえ覚えてしまうのは私だけだろうか。 (金沢大学理工研究域自然システム学系)山田敏郎
私たちは、できれば「科学的な安全が証明された食物」を食べたいと思う。ところがアメリカの方針は、規制をするのであれば、規制する側が「有害である科学的根拠を示せ」と言っているのだ。健康への影響が懸念されるような食品は輸入しないという「予防」的な措置は許されないのだ。 アメリカの米には日本の基準の60倍から80倍もの殺虫剤が使用されているという。日本の残留農薬の基準を満たさないだろう。しかし、有害だという科学的な証拠がなければ、そのような食の安全・安心を守るような措置は撤廃しろと要求している。 (愛知県弁護士会司法問題対策委員会TPP部会長)岩月浩二
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